平成23年12月2日に、『東日本大震災から復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(以下、「復興財源確保法」)』が公布され、施行されることに伴って、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生じる所得について、源泉徴収義務者が源泉徴収を行う際、復興特別所得税も併せて源泉徴収することとなりました。
1. 源泉徴収の方法
平成25年1月1日以降の源泉徴収する際の新しい税率は、これまで使われていた所得税率に102.1%を乗じた税率となります。
(例)毎月10万円(税抜)の報酬・料金を支払う場合
(1) 税理士、弁護士などの場合
平成24年12月31日以前 10万円×10%=10,000円
平成25年1月1日以降 10万円×10.21%=10,210円
(2) 司法書士等(※)の場合
平成24年12月31日以前 (10万円-1万円)×10%=9,000円
平成25年1月1日以降 (10万円-1万円)×10.21%=9,189円
※司法書士等とは、司法書士・土地家屋調査士及び海事代理士のことをいいます。
2. 源泉徴収所得税の納付期限
平成25年1月1日以降、税理士・弁護士・司法書士等に支払った報酬・料金から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。
ただし、源泉徴収義務者が源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合には1月から6月分は、7月10日までに、7月から12月分は翌年1月20日までに納めることができます。
3.納付の仕方について
源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、1枚の所得税徴収高計算書(納付書)で納付します。したがって、復興特別所得税用の納付書はありません。
消費税の計算方法には、原則課税と簡易課税の2種類の計算方法があります。
前回の記事では、原則課税と呼ばれる計算方法です。今回は、簡易課税について説明したいと思います。
誰でも簡易課税による計算方法を採用することはできず、要件を満たした人のみ採用することができます。
その要件というのが、
①その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下、「基準期間」といいます。)の課税売上高が5,000万円以下であること
②消費税簡易課税制度選択届出書を提出していること
の2要件です。
消費税の計算式については、原則課税も簡易課税も「預かった消費税-支払った消費税=納付額」で同じです。相違点は、支払った消費税の算出の仕方です。
原則課税は、自分が支払った消費税をすべてかき集めて算出するのに対し、簡易課税は、預かった消費税に一定の率(以下、「みなし仕入率」といいます。)を乗じて算出します。つまり、自分が預かった消費税の何割かが支払った消費税になります。
みなし仕入率は、卸売業・小売業・製造業・サービス業など業種区分に応じて異なります。
第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業) 80%
第3種事業(製造業等) 70%
第4種事業(その他の事業) 60%
第5種事業(サービス業等) 50%
いつも通り簡単な具体例でいきましょう!
今回は原則課税と簡易課税でいくら納付額が変わるか実感してもらえるように同じ具体例でいきます。
≪具体例≫
小売業者が卸売業者から、5,250,000円の商品を仕入れて、消費者に10,500,000円で売った場合
(簡易課税の適用を受けるための要件は満たしているものとします。)
まず、国税の4%部分を計算します。
預かった消費税・・・10,500,000円×100/105(千円未満切捨て)×4%=400,000円
支払った消費税・・・400,000円×80%(※)=320,000円
(※)小売業のため第2種事業となり、みなし仕入率は80%となります。
となり、国税部分は、400,000円-320,000円=80,000円となります。
次に、地方消費税を計算します。
80,000円×25%=20,000円
よって、納付額は、80,000円+20,000円=100,000円となります。
原則課税の場合、納付税額は250,000円に対し、簡易課税の場合は、100,000円となり、何とその差額は150,000円も変わってきます!
簡易課税を選択するのとしないとでこんなに差がでる場合があります。
税額を少なくできるメリットもあれば、デメリットもあります。簡易課税は、支払った消費税を、預かった消費税の50%~90%として簡便的に計算します。なので、第1種事業なら10%、第2種事業なら20%といったように、10%~50%の範囲内で必ず納付税額が発生します。(予定納税をたくさん支払っている場合を除き還付税額が発生することはありえません。)
また、1度簡易課税を選択すると2年間は必ずこの方法で計算しないといけません。(基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた場合を除きます。)この2年の間に設備投資などをして、多額の消費税を支払っていたとしても、簡易課税の適用の要件を満たしていたら必ず簡易課税で計算しないといけないので還付されないことになります。
多額の設備投資を行う予定がある方や車などの購入予定の方は、必ず顧問税理士に相談して消費税簡易課税制度不適用届出書を税務署に提出してもらいましょう!
今回の具体例では、偶然簡易課税が有利となりましたが、必ず簡易課税が有利というものではありません。ケースバイケースなので、有利選択のシュミレーションは必ず行わないといけませんね。