会社を設立した場合、強制となるのは社会保険の加入です。
そもそも社会保険とは何なのか?どうやって入ったらいいのか?のご説明から、お客様の会社に合った適切な保険をご提案し、ご入会の手続きなどご面倒なことも私たちでさせていただきます。
役員の退職金や社員の賞与など保険が関わることはとても多いです。分かりやすくご説明しながらご紹介させていただきます。
厚生年金保険料率の改定 28年改訂版
厚生年金保険料率の改定
28年改訂版
平成28年9月分(平成28年10月納付分)から厚生年金保険料率が引き上げられます。
健康保険については変更はありません。
一般の被保険者等 | 坑内員・船員 | |
現行の厚生年金の保険料率 | 17.828% | 17.936% |
変更後の厚生年金の保険料率 | 18.182% | 18.184% |
変更後の厚生年金保険料率は、平成28年9月分(10月納付分)から平成29年8月分(9月納付分)までの期間が対象です。
給与計算の際はご注意ください。
賞与支払届
賞与支払届は賞与を支給した場合に、原則5日以内に年金事務所に届け出が必要となります。この賞与支払届は、年金事務所に事前に届け出ることで、支払い月の前月までに年金事務所から郵送されてきます。
また、賞与支払届には、賞与支払届総括表を添付して提出することになります。
書き方については、支給した賞与の金額等(千円未満切捨て)を記載するのみなので特に難しいことはないと思います。
賞与の対象となるもの | 賞与・ボーナス・期末手当・夏季賞与・冬季賞与・決算賞与・期末一時金。 その他、定期的または一時的に支給されるもの。 賞与等として金銭以外で支給されるもの。 |
賞与の対象とならないもの | 年4回以上支給される賞与・結婚祝い金・大入り袋など労働の対償とならないもの。 |
賞与に係る保険料については、標準賞与額に通常の健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料率を乗じて算出します。また、児童手当拠出金について、保険料と同様に賞与分が上乗せされるので併せて納付します。
納付については、年金事務所より毎月の保険料に賞与分が上乗せされた納入告知書が届きますので、併せて納付します。
算定基礎届の提出
毎年7月10日までに源泉所得税等や労働保険料とは別に日本年金機構に算定基礎届を提出しなければなりません。
算定基礎は、実際の報酬と標準報酬月額が大きくズレないように毎年9月に決定し直されます。この算定基礎により決定し直された標準報酬月額で、原則1年間納める保険料の計算や将来受け取る年金の基礎となります。
なお、すべての方が提出しなければならないのではなく、次のいずれかに該当する方は提出の必要はありません。
1.提出する年の6月1日以降に資格取得した方
2.提出する年の6月30日以前に退職した方
3.提出する年の7月・8月・9月に月額変更届を提出する方
4.提出する年の7月・8月・9月に育児休業等終了時月額変更届を提出する方
(注) 8月又は9月に月額変更届、育児休業等終了時月額変更届を予定している方で、当該変更届が該当しないと判明した場合には、算定基礎届を速やかに提出しないといけません。
提出時期 | 毎年7月10日 |
提出先 | 年金事務所又は事務センター |
提出方法 | 電子申請・郵送・窓口持参 ※フロッピーディスクやMOなどによる提出可 |
パートの厚生年金見直しか?
社会保障と税の一体改革に基づき、厚生年金の加入条件などを厳しくする方向で、検討がされているようです。
具体的な方針をあげると次のようなものが検討されています。
1.パートなどの加入条件を「週30時間以上」から「週20時間以上」に拡大
→この条件ですと月間80時間×時給800円=64,000円のパートでも、厚生年金が天引きされることになります。
2.第3号被保険者の要件を年収130万円未満から引き下げる
→第3号被保険者とは、会社員などの配偶者で年収130万円未満の者は、保険料を支払わなくても国民年金を受給することができるというものです。
保険料を支払わずに、年金を受取ることができる。あるいは、月収10万円程度であれば、2の要件を満たすが、1の要件には抵触するというように、不公平感がでてもおかしくない制度上の欠陥があります。
3.年金の受給資格期間を現在の25年から10年へ変更
→これまでは25年以上年金をかけなければ、年金をもらえない。すなわち掛け捨てとされてきました。
保険料は強制徴収しておいて、支給はしないという、これも制度上問題があるといわざるを得ません。
このような、欠陥だらけの年金制度において、この先の高齢化社会に対応できるのでしょうか?
年金制度の根幹から見直して、若い世代まで安心して老後が迎えられるよう制度設計を作ってもらいたいものです。
税理士 羽子田
在職老齢年金の調整
今や60歳を過ぎても、働くことは当たり前の社会となりましたが、年金を受取ることができなくなるからという理由で、定年後の再雇用を敬遠する向きもあるようです。
なかには、定年後に新しく事業を始めようという方もいますが、年金についての不安を抱えたままでは、損をするケースもでてきます。
60歳以上の経営者についても、役員報酬のあり方を見直すきっかけになると思いますので、今回は在職老齢年金について取り上げます。
60歳~65歳未満の方は、年金の支給要件を満たしていれば、本来年金を受給することができます。しかし、この期間に仕事をしている場合には、一定金額以上の給与があれば、年金を減額される仕組みとなっています。
では、いくら以上給与をもらうと年金が減額されるのでしょうか?
「標準報酬月額」(毎月の給与)+年金基本月額(加給年金を除く)<28万円
であれば、年金を全額受取ることができます。
28万円~46万円までの方は超過分の年金が1/2減額され、46万円を超える方は超過分は全額カットとなります。
※ちなみに65歳以上の方については、46万円以下は全額支給、46万円超は超過分の1/2がカットされます。
ご自身で新たに会社を興された場合、役員報酬の設定にてこの点を留意しておくことにより、納める年金保険料の負担を軽減することも可能ですし、受取る年金もカットされずにすませることもできます。
具体的な方法につきましては、弊社にご相談下さい。
税理士 羽子田
社会保険の加入
社会保険は強制加入
会社設立した場合、労働保険・社会保険へは原則、従業員が一人でもいれば強制加入となります。なお、社会保険のうち、厚生年金には加入せずに、健康保険だけ加入するもしくはその逆についてもできません。保険料は原則、会社と従業員が半分ずつ負担することになります。
優秀な人材を確保するためには、社会保険の加入はかかせないものですよね。
通勤時の事故やケガ、傷病時の給与の補償などがついていますので、従業員だけでなくその家族も安心して働く環境を提供することができます。
社会保険加入手続き、労働保険加入手続き→提携社会保険労務士が対応致します。お気軽にご相談ください。
見落としがちなのが、社会保険の負担です
個人事業主では、従業員も含め各自で、国民健康保険、国民年金へ加入しています。(個人事業であっても社会保険に加入してるところもあります。)
ただし、実体はメディアで報道されているように、特に国民年金は個人の意思として支払っていないケースが多く見受けられます。
勤め先が、会社組織へ変更されたことにより、従業員の意思に関わらず、強制的に厚生年金の保険料が給与から徴収されます。
従業員にとっては、将来の生活の基盤となる年金だからと前向きに捕らえるか、収入は変わらないのに手取りが減らされることに不満をもつケースも耳にします。
会社を設立するということは、こういったところにも、影響を及ぼすことを頭の片隅においてください。
そもそも社会保険って何?
【社会保険とは】「健康保険(介護保険)」と「厚生年金」をまとめた総称です。
【加入要件】法人では、常時1人以上の従業員を使用してる場合には、加入しなければなりません。
【手続き】社会保険は労働保険のように、健康保険と厚生年金での窓口が変わることはありませんので、まとめて手続きを行うことになります。
提出先 | 年金事務所(旧社会保険事務所) |
期日 | 強制適用事業所となった日から5日以内 |
必要書類 | ①健康保険・厚生年金保険 新規適用届 ②健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 ③保険料口座振替申出書 ④健康保険 被扶養者異動届(被扶養家族がいる場合) ⑤国民年金 第3号被保険者資格取得届(被扶養家族がいる場合) |
添付書類 | ①法人登記簿謄本 ②賃貸契約書のコピー ③出勤簿、労働者名簿など |
【健康保険証の交付】上記手続きが完了しましたら、1~2週間で会社へ協会けんぽより健康保険証が郵送されてきます。
労働保険
【労働保険とは】「労災保険」と「雇用保険」をまとめた総称です。
【加入要件】法人では、労働者を1人以上雇用してる場合には、加入しなければなりません。
【手続き】
①労災保険
提出先 | 労働基準監督署 |
期日 | 保険関係成立日から10日以内 |
必要書類 | 労働保険 保険関係成立届(法人登記簿謄本の添付が必要です。) ※なお、この時に併せて労働保険概算保険料申告書も提出しておくと、手間が省けます。 |
②雇用保険
提出先 | ハローワーク |
期日 | 設置日から10日以内 |
必要書類 | 雇用保険適用事業所設置届(保険関係成立届の控え、法人登記簿謄本、事業開始を証明する書類、出勤簿、労働者名簿、賃金台帳などを添付します。) 雇用保険被保険者資格取得届 |