設立後の各官庁への手続き

会社を設立登記が完了し会社の経営をスタートさせる前に、各官庁への手続きが必要です。 この手続きには、税務と労務の2種類が必要となります。
今回は、税務上の手続きについて説明します。

手続きが必要となる役所

会社を設立した場合には、その旨を役所に知らせないといけません。
その役所というのは、本店所在地を管轄している税務署・都道府県税事務所・市町村役場の3か所です。
(本店所在地が、東京都23区内である場合には、管轄内の税務署と都税事務所の2か所です。)

提出書類

法人設立届など数種類の書類の提出が必要です。

法人設立届

会社設立後2月以内に以下の書類を添付して、税務署・都道府県税事務所・市町村役場に提出します。

提出物定款のコピー
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピー
株主名簿
開始貸借対照表

都道府県税事務所と市町村役場によって様式は様々ですので、本店所在地の管轄の都道府県事務所・市町村役場から取り寄せるかホームページでダウンロードできます。

提出先税務署
都道府県税事務所
市町村役場
東京都23区の場合の提出先管轄内の税務署と都税事務所

青色申告承認申請書

法人の申告には、白色申告と青色申告の2種類あります。
何がどう違うのかを一言で言えば、青色申告は法人にとって優遇規定を受けることができます。
青色申告の優遇規定の一つとして、欠損金の繰越控除があります。
欠損金とは、税務上の赤字のことで、9年間繰越すことができます。
所得が出た年度の黒字と相殺できる規定です。
他にもたくさんの優遇規定を受けれるようにするために青色申告承認申請書を提出します。

提出期限会社設立の日以後3月を経過した日と
当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで

この期限に遅れると、設立年度から青色申告書で申告できないので注意が必要です。

給与支払事業所等の開設の届出書

給与の支払者が、国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設した場合に、その旨を所轄税務署長に対して届け出るために提出します。

提出期限開設があった日から1か月以内

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を行うために提出します。
源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限ですが、この申請書を提出すれば、従業員が常時10人未満である会社が、源泉徴収をした所得税について、毎月納付するのでなはなく、年2回にまとめて納付できるという特例制度が受けられます。
この申請書を提出すれば、源泉徴収した所得税を毎月納付する手間は省けます。

提出期限提出期限はありませんが、原則として提出した日の翌月に支払う給与等から特例が適用されるので早めに提出

その他の手続き書類

会社が必要に応じて提出する書類です。
具体的には、以下の書類などです。

  • 棚卸資産の評価方法の届出書
  • 減価償却資産の償却方法の届出書
  • 有価証券の評価方法の届出書
  • 外貨建資産等の期末換算方法等の届出書

これらの書類を提出しない場合には、原則通り法定方法の取扱いとなります。

消費税関係の書類

消費税についても、必要に応じて提出する書類があります。

①消費税課税事業者選択届出書

消費税は原則として、前々期の課税売上高が1000万円を超える場合に、消費税の納税義務者となりますが、新設法人の場合、資本金1000万円未満であれば免税事業者となります。
しかし、会社設立に伴って、多額の設備投資をすれば、多額の消費税を支払うこととなります。
このような場合に、この書類を提出すれば、1年目から消費税の課税事業者となって、消費税の還付を受けることができます。
しかし、2年間は消費税の課税事業者となるので提出する際には、しっかり設立後2年間の会社経営をシュミレーションする必要があるかと思います。

提出期限適用を受けようとする課税期間の初日の前日
※新規開業の場合は、その事業年度終了の日までとなっています
②消費税の新設法人に該当する旨の届出書

新設法人の場合、会社設立時の資本金が1000万円以上なら、届出が必要となります。
ただし、法人設立届の所定の欄に記載して提出すれば、この届出書の提出は不要です。

提出期限期限はありませんが速やかに提出