「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正されました。
1.消費税収入の使途の明確化
国分の消費税収入は、毎年度、制度として確立された下記の経費に充てるものとされました。
(1) 年金の社会保障給付
(2) 医療の社会保障給付
(3) 介護の社会保障給付
(4) 少子化に対処するための施策に要する経費
(注) 地方消費税収入(引上げ分)及び消費税収入に係る地方交付税分について、社会保障4経費を含む社会保障施策に要する経費に充てるものとされています。
2.消費税率の引上げ
消費税率及び地方消費税率について、以下の通り2段階で引上げることとされました。
現行 消費税率 4.0% 地方消費税率 1.0% 合計5.0%
平成26年4月1日 消費税率 6.3% 地方消費税率 1.7% 合計8.0%
平成27年10月1日 消費税率 7.8% 地方消費税率 2.2% 合計10.0%
※ 経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率引上げの前に、経済状況等を総合的に勘案した上で、消費税率の引上げの停止を含め所要の措置を講ずることとされています。
※ 引上げ後の税率は、経過措置が適用されるものを除き、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等について適用されます。
3.特定新規設立法人の事業者免税点制度の不適用制度の創設
開始時期:平成26年4月1日以後に設立される新規設立法人で、特定新規設立法人に該当するものについて適用されます。
その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人(以下「新規設立法人」といいます)のうち、次のいずれにも該当するもの(以下「特定新規設立法人」といいます)については、当該特定新規設立法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されません。
(1)その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
(2)上記(1)の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。
4.任意の中間申告制度の創設
開始時期:個人の場合は平成27年分から、事業年度が1年の法人については、平成26年4月1日以後開始する課税期間(平成27年3月末決算分)から適用されます。
直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税額を含まない年税額)が48万円以下の事業者(中間申告義務がない事業者)が、任意に中間申告書(年1回)を提出する旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合には、当該届出書を提出した日以後にその末日が最初に到着する6月中間申告対象期間から、自主的に中間申告・納付することができることとされました。
(注1) 6月中間申告対象期間とは、その課税期間開始の日以後6月の期間で、年1回の中間申告の対象となる期間をいいます。
(注2) 中間納付税額は、直前の課税期間の確定消費税額の1/2の額となります。また、中間納付税額と併せて地方消費税の中間納付税額を納付することとなります。なお、任意の中間申告制度を適用する場合であっても、仮決算を行って計算した消費税額及び地方消費税額により中間申告・納付することができます。
≪改正前≫
直前の課税期間の確定消費税額 4,800万円超 年11回
400万円超 年3回
48万円超 年1回
48万円以下 中間申告義務なし
≪改正後≫
直前の課税期間の確定消費税額 4,800万円超 年11回
400万円超 年3回
48万円超 年1回
48万円以下 任意の中間申告義務(年1回)可能
5.税率引上げに伴う経過措置
改正後の税率は、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物について適用され、適用開始日前に行われた資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税については、改正前の税率が適用されることとなります。ただし、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等のうち一定のものについては、改正前の税率を適用することとするなどの経過措置が講じられています。